第二部『天邪鬼』破

泣くつもりはなかった。
けれど涙は勝手に溢れてきた。
講義棟裏の階段に座り、カガリは涙がただ流れて地面に落ちていくのを見ていた。
そうして胸の内で暴れ狂う感情が落ち着くのを待った。
こうしているのはいつぶりだろう。
心臓のあたりが、叫び出したくなるほど痛むのは。
なぜこんな気持ちになるのだろう。
アシヤさんの傍若無人な態度に腹が立ったからか。
酷いことを言われたからか。
時間の無駄だと罵られたからか。
違う。
あの時、サグメさんは悲しそうな顔をしていた。
きっと最初の三十分で、私に素質がないことはわかっていたのだろう。
それでもずっと、付き合ってくれた。
できると励ましてくれた。
その優しさを無碍にされたことが、たまらなく嫌だった。
あの時、神経が焼けるような怒りを、アシヤさんにぶつけなくてよかった、と思う。
少し冷静になってきたようだ。
カガリが物音に気づき顔を上げると、困ったような悲しそうな顔をしたサグメがこちらを見ていた。
「……ごめんねぇ」
「サグメさん、こちらこそご心配をおかけしました」
「何言ってんの!曲がりなりにも先生である僕が止めなきゃいけなかったのに、僕何も言えなかったよ……」
しゅんとするサグメは、叱られた後の子供のようだった。
「アシヤがあんなに怒るなんて久しぶりだよ。カスミもいなかったし、あそこで一番しっかりしなきゃいけないのは僕だった……」
「……いいんです。アシヤさんが何故私を拒絶するのかはわからないけれど……」
「ストイックな人ですからねぇ。何か理由はあるんだとは思いやすが、それがなんなのかまでは……」
二人で首を傾げる。
善悪の考え方が異なり、力も持たない。
そんなカガリではやっていけないと踏んだのだろうか。
「……サグメさんは、カスミさんたちとどれぐらいの付き合いなんですか?」
「え?うーん、契約したのが三年ぐらいかなぁ、僕もまだまだひよっこなんでさぁ。契約したての頃は、カスミにもアシヤにもよく絞られてたっけ……」
てへへと頭を掻くサグメはひょいとカガリの横に座った。
「だから、頑張ってるカガリちゃん見てるとつい応援したくなっちゃってねぇ……ホントのことも言うに言えなくなっちゃったんでさぁ。まっこと申し訳ない!」
「いえいえ!嬉しかったですよ、そのお気持ちが」
笑うカガリの顔を見て、サグメも鋭い八重歯を覗かせてにこぉと笑った。
「ところでカガリちゃんは、どうしてここのゼミに入ろうと思ったんでやすか?」
「それは……」
「我慢強そうだし、修験道のゼミにいそうな子だなって思ってたでやすよ。……あ、向いてないとかじゃなくて!」
「一年の先生にも、クラスの子たちにも言われました。『絶対修験道の方がいい!』って。才能があるとまでも。でも、私はぎりぎりまで迷ってたんです。本当にそれでいいのかと」
「どうして?」
「……昔、妖の関係で怖い思いをしたことがあって。今でも少し怖いんです。それを克服したいと思ってはいましたが、修験道のやり方では……その……納得いかなくて」
「……まぁ、あそこは人にも妖にも厳しいでやすからねぇ……」
修験道は、霊験あらたかな山に籠り厳しい修行を行うことで”験力”を得る。
その力をもって呪術を操るのだが、その力は妖と少し相性が悪いのだ。
度の強い酒が殺菌力を持つように、自身を切磋琢磨して得た験力は浄化力が強い。
よって、悪性の妖はおろか善性の妖にも必要以上の効果をもたらしてしまうことが多い。
「私は、悪いことをする存在は人でも妖でも絶対に許せません。でも、悪性の妖にも生まれた意味があるのだと思っています。それを人の力で無理やり運命を変えてしまうのは、違う気がするんです。お互いが納得のいくまで、話し合いをして、分かり合うのが正しい道だと思っています」
語るカガリの目は、妖を理解したいという思いがこもっていた。
その目をふと反らし、サグメはつぶやく。
「……優しいんでやすね、カガリちゃんは」
「え?」
「ううん。たしかに、その考えならきっとここの方がやっていきやすいと思いやす。初手で『悪を懲らしめる!』なんて豪語しちゃったから、アシヤさんも勘違いしちゃったんでやしょうね!」
「あ、そうか。あの時、緊張して言おうと思ってたことが全部飛んじゃったんです……」
「それならきっとそう話せば、アシヤさんもわかってくれると思いやすよ!」
「はい!ありがとうございます!」
「へへ……そうだ!これをあげやしょう!」
ゴソゴソと懐を探って取り出したそれは、茶色がかった透明な石だった。成型されていないのかゴツゴツとしている。
「なんですか?」
「煙水晶の原石でさぁ!日本じゃまず取れないレアもんですぜ!魔除の効果があって、霊力がないカガリちゃんのお守りにぴったりだと思って!」
「えぇ!いいんですか?」
「うん!」
日に当てると、煙水晶はきらきらとその光をカガリの瞳に写し出した。
「綺麗……ありがとうございます!」
「へへ……契約がなかったら、それを使って面白い術をお披露目できるんですがねぇ……」
「へえ、どんなのですか?」
サグメはふふんと胸を張って説明した。
「僕は元々天邪鬼っていう鬼だったんで、人の心が読めるんでやす。石や鏡を使うとよりはっきりと見えるんですぜ。それを応用して、これからの君の運勢を占うこともできるんでさぁ!」
一転、肩を落とすサグメ。
「……まぁ、今はその辺の力は取り上げられちゃってるから、なんにもできないんですがねぇ。つい癖で石や鏡は集めてるけど……」
そこまで言って、サグメはハッとした。
「カガリちゃん!これならいけるかも!」

―――

サグメの考えは、石に宿る霊力を使って詞を発揮させるというものだった。
紙に先程の文字を書きながら指示を出す。
「まず石を握って、目を閉じて手に伝わる温もりを感じとってみてくだせぇ」
カガリは言われた通り、手の内の煙水晶に意識を集中させる。
しばらくすると、ひんやりした感触の石からじんわりとした熱を感じる。
「そのまま……さっき練習した文字の中で思い浮かぶものを唱えてみるんでさぁ」
カガリの意識は凪いでおり、頭には自然と浮かぶ字があった。それを口に出す。
サグメの息を呑む音が聞こえた。
「カガリちゃん!見て見て!!」
ハッと目を開けると、紙のちょうど中心にある文字が、消えていた。
「やったー!!」
二人は思わず抱き合い、成功の喜びを分かち合った。
「人によっては霊力そのものを寄せ付けない体質なんてのもあるからちょいと心配だったけど、やっぱりカガリちゃんはやればできる子でさぁ!」
「うぅ……ありがとうございます……!
サグメさんが教えてくれたおかげです……!」
「へへ、そんなぁ、照れやすねぇ……」
サグメはニマニマしている。
「マキメくんやアサギくんの時も大変だったけど、今回はイレギュラーが多いから、地道な努力が必要になりそうでやすねぇ……」
「そうなんですか?」
「まず、霊力が少ない。これは他の子もそうだったからいいとして。
次に、カガリちゃんは体内の霊力を外に出せない体質みたいでさぁ。これはもともとの霊力が少ない子に起こりえる体質。これも鍛える方法があるから、後々やってもらえば大丈夫。問題は……」
サグメはカガリの手元の石を指す。
「当分はその石を使って詞を使ってもらうことになると思うけど、その石とカガリちゃんの”性質”が違ってたら、術を覚え直してもらわないといけないかもしれないんでさぁ」
「え……」
「さっき詞にも属性があるって言ったでやしょう?その石は土と金の属性を持ってるから、さっきの字が消えたんでさぁ。頭の中にも浮かんできたでやしょう?」
「確かに……読めないけど自然に浮かんできました」
「その字は土属性。漢字で書くと”留”かな。石が使えるし、土属性の字が浮かんできたってことは、カガリちゃんは土属性か火属性の可能性が高い……ってことになるのかねぇ」
「ほぁ……」
カガリのよくわかってない表情に気づいたサグメは慌てて取り繕う。
「ま、まぁこの辺は追々勉強していけばわかりやすよ!……ん、待てよ。”留”?」
サグメは何か思うところあったのか、カガリに背を向けごそごそと動いていた。
カガリの目だと、サグメの表情が段々と悪意を孕んだものになっていると気づくことはできなかった。
そして、振り向いたサグメの手には、一枚のコピー用紙。そこには一つの字……のようなものが書かれていた。
「これは?」
「本物の詞でさぁ。といっても簡単なもので、今日はこれぐらいの詞を使えるようになってもらう予定だったんだ」
「そうなんですね!どういう意味の詞なんですか?」
「さっきカガリちゃんが消したのが、吸収系の字だったから、簡単な術を吸い込む詞でさぁ!これなら使えるはずですぜ!」
「ほんとですか!」
「うん!早速やってみやしょう!」
「はい!」
張り切るカガリを前に、サグメは微笑む。その目は、妖しい光をたたえていた。

―――

文字通り、サグメは手取り足取りカガリにやり方を教えた。
構え方、重心の置き方、具体的なイメージ……。
「意外と奥深いんですね……!」
「初めて技を出す人は、その反動で怪我しちゃう人もいるから、念のためね。……あ、そうだ!」
サグメはカガリの正面に立ち、二、三歩後ろに下がった。
「僕が軽い風を起こすから、それを手の平に吸い込むイメージでやってみてくだせぇ!」
「はい!それならイメージしやすいです!」
「よし、そろそろいってみやしょう!さぁ、石に集中して、声に出してくだせぇ!」
「は、はい!」
再び、カガリは目を閉じて意識を統一させる。
自分に届く風を吸い込む。
術を取り込む。吸収する。
脳内の思考を、文字として鮮明に書き出していく。石の熱が伝わる。
少しして、ぬるい風が頬を撫でた。
それと同時に、カガリは声を発した。
風だというのに、掌には確かな手応えがあった。
同時に、サグメが「ぎゃっ!」と叫び転がるような音がする。
とっさに目を開け、辺りを確認する。
近くにサグメはいない。下の階段を転げ落ちたようだ。
「サグメさん!?大丈夫ですか、サグメさん!!」
慌てて階段を降り、抱き起こす。
妖だからかほとんど外傷はないようだが、気を失っているようだ。
「サグメさん!」
何度か名前を呼び、体を揺らすと、サグメは目を開けた。
カガリが胸を撫で下ろしたのも束の間。
その異変には一瞬で気づいた。
サグメの深い真紅の瞳。
その二つの目が、金色に光っている。
ゆらりと立ち上がったサグメは、先ほどまで話していた妖とは異なるものだ。
煙水晶を握ると、その警鐘はより大きく鳴り響く。
無意識にカガリの足は震え、後退りして妖と距離をとっていた。
からん、ともみあげに結ばれていた髪飾りが落ちる。
ゆっくり顔を上げた妖の顔には、赤い隈取りが目元に増えていた。
鋭い犬歯を光らせ、サグメだった妖はにやぁと笑う。
「ありがとさん」

―――

立ち上がったサグメは、カガリに向かって素早く石を投げた。
突然の動きに反応が遅れ、石はカガリの頬を掠める。
「ど、どうしたんですか、サグメさん!」
「見ての通りだよ。アンタが解呪の詞を唱えてくれたおかげで、僕は自由になったのさ」
「そんな!さっきは術を吸収する詞だって……!」
「間違ったことは言ってないよ。僕にかけられた契約……それは”字”が込められた髪飾り。どんな契約かはもう調べてある。言葉にするなら『従順』だ。
厄介だよねぇ……『拘束』でもなく『隷属』でもない。縛られたなら断ち切れる。権力で従えるなら奪えばいい。でもこれは、意識に働きかける”字”だ。流れる水のように掴みどころがない。それを打ち消すことができる”字”を僕はずっと探していたんだ。流れる水を堰き止める、『留処』をね」
「そんな……私の力でそんな簡単にできるはず……」
「もちろん、できるとは思ってなかった。でもふざけ半分、面白半分でやってみたらどうだ、あっさりできたじゃあないか。物は試しだねぇ」
サグメは一歩前に出る。カガリは思わず後ずさろうとした。
金色の眼。見覚えがある光。
カガリはその眼を見て、足が完全にすくんでしまっていた。
「自由になって仕舞えば、君はもう用済みさぁ。んじゃ、さっきの煙水晶、返してもらおうか?」
「え……?」
サグメがくれた煙水晶。
カガリを元気付けようと渡してくれたもの。
カガリに力を与えてくれたもの。
サグメはそれをあっさりと、返せと言い放った。
「まあ、そりゃ嫌だよね?君はそれがなきゃなんにもできない凡人なんだから!」
言いながら、サグメはまた石を投げた。
咄嗟に腕を出して顔を庇う。鈍い痛みが腕に響く。
腕を下げると、サグメはもう目の前に来ていた。
肩を掴まれ、地面に叩きつけられる。
押し倒された状態にいながらも、カガリは握りしめた石は離さなかった。
「やめてください……サグメさん……!」
「強情だねぇ。石を返せばすぐやめてあげるのに」
「それは……できません……!」
「無力な自分を認めなよ。君には霊力がない。石に頼ったところで、いずれ限界が来る。とっとと返して辞めちまいな!」
サグメは折らんばかりの強い力で手首を握りしめる。ミシミシと鳴る骨の痛みに、カガリは思わず悲鳴を上げた。
その声が響くのと、一枚の紙飛行機がカガリの視界に入るのは、ほぼ同時だった。

―――

「言わんこっちゃない」
紙飛行機と思われたそれは、折り畳まれた紙札だった。
それはひらひらと舞っていたかと思うと、サグメの上にきた途端ピタリと止まった。
札から幾枚もの木の葉が降り注ぎ、サグメたちの周りを覆った。その葉はカガリに触れても何も起こらなかったが、サグメに触れるとカッターの刃のように鋭く皮膚を切り裂く。
「ちっ!」
サグメはどんと拳で地面を叩き、跳ねた小石を風に巻き込み木の葉を叩き落とした。
そのままカガリの首根っこを引っ掴み、札が飛んできた方から数メートル飛び後ずさった。
カガリが恐る恐るそちらを向くと、そこにはくせ毛の眠そうな目をした男が立っていた。
「あ、アシヤさん……」
「まんまと騙されやがって。しかしカスミさんは何考えてんだか……」
「やっぱりアシヤか。君のことだからすぐ気づくとは思ったけど」
サグメはにこりとアシヤに微笑みかける。しかしアシヤは機嫌が悪そうに眉を顰めている。
「でも心配しないで!こいつから煙水晶を返してもらったら、大人しく僕は消えるよ。自由にしてもらった恩があるからね」
「どの口が言ってんだ天邪鬼。お前の考えてることなんか隠す以前に見え見えなんだよ。御託はその馬鹿を放してから言え」
「うるさいなぁ、僕は君やカスミみたいなのにぐちぐち言われるのはもううんざりなんだよ。力は戻ったし、君も人質がいれば下手な真似はできないだろう?」
アシヤはチッと舌打ちをして、より凶悪な目つきでサグメを睨む。
「一応聞くが、条件は何だ?」
サグメはふふっと息を漏らす。その目は笑っていなかった。
「僕を半永久的に自由にすること。そして、僕の行動全てに今後一切干渉しないこと」
それを聞いたアシヤは仰々しくため息をついた。
「それができないから契約したんだろうが」
「裏技を使えば破棄できる契約を結んだのが悪いのさ!どうする?君のせいで人が痛い目に遭うのは避けたいだろう?」
「……無理だと言ったら?」
「……こうするだけさ」
サグメは懐から小さな手鏡を取り出し、天に翳した。陽の光を反射した鏡は激しく瞬き、カガリの視界を奪う。
「おい!そいつの術に惑わされるな!」
叫ぶアシヤの声は、だんだんと遠ざかっていく。
カガリの意識は、白い世界に取り込まれた。

―――

泣き声。

誰の声だろう。

女の子のようだ。

まだ幼い。

迷子だろうか。

両親はどこに行ったのだろうか。

両親。

お父さん。

お母さん。

お父さん、どこにいるの。

お母さん、置いてかないで。

わたしをひとりにしないで。

閃光。

バリバリと劈く轟音。

目の前が暗闇に包まれた。

外はざあざあと雨音を立てている。

なんだか、体も濡れているようだ。

じっと目を凝らす。

閃光。

その光で見えたもの。

私の手は、服は、真っ赤に汚れていた。
「……え?」
顔を上げる。

二つの金色の光。

それは眼だ。

私を見ている。

どしゃどしゃ、と二つの塊が落ちるような音がした。

閃光。

金の眼の何か。

その足元に、二つの大きな塊が転がっていた。

―――

「……これだからタチの悪い」
アシヤは、鏡の光を見た途端力なくくずおれたカガリを見て苦々しげな表情を浮かべていた。
「人の心って繊細だよね。ちょっと深いところに潜ってトラウマを突けば、あっという間に壊れちゃう」
平然と語るサグメ。
その笑顔は、まさしく妖だった。
「でもこれは序の口さぁ。まだ交渉は始まったばかりだからねぇ。どうする?あ、結界を張ったって無駄だよ。さっきの演習で君たちの結界の気配は覚えたからねぇ。対策済みさ」
サグメは横目で物陰に隠れている四つの気配を確認する。どこからともなく、舌打ちの音が聞こえた。
「周到だねえ、君にしては。ひょっとしてそいつなしでも、今日契約を破るつもり満々だったんじゃないのか?」
「当たらずとも遠からず、かな。僕はね、ずっと待ってたんだよ。自由になれるこの瞬間を。そのためなら嘘も平気でつけるし、馬鹿を騙すなんて造作もない」
アシヤはじっ、と高笑いする妖を見据える。
相手は簡単には本当のことを言わない妖だ。
しかも相手の心理をつく術を使い、外側ではなく内側を壊す。
ただ、こいつは……。
アシヤは物陰に息を潜めている三年二人に合図を送る。二人は、こそこそと場を去っていった。
サグメはそれすらも見通していたのだが。
「いいよ。人が何人いようが、僕の知ったことじゃない。……にしてもこいつ、本当に馬鹿力だなぁ。気を失ってるのに石を放しやしない」
サグメは空いている手でぐいぐいとカガリの手を引っ張るが、その拳は固まったように動かない。
「そいつが持ってる石が欲しいんなら、そいつの手を操ればいいじゃないか」
「それが、なんでかできないんだよねぇ……ちぇっ、さっきの術がまだ効いてんのかな」

「……そうか」
術をもってしても離さない手。それを見たアシヤは一つの可能性に賭けることにした。
もはや呼吸のしかたを変えただけと言えるレベルのごく小さな声で、詞を唱える。
それは、数えるほどの人間にしか使えない技。
その技で使える術も、ごく限られている。
そしてそのことに気づいたのは誰もいなかった。
……ただ一人眠っている少女以外には。

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